より上級のSEになるごとに、実際にコードを書かずにシステムの設計を行う立場になる、というのはよく言われることですし、間違ってはいません。であれば、上級のSEであればコーディングの技術は必要ないのか? 新しい言語は知らなくてもいいのか? 最新のネットワーク機器について知らなくてもいいのか? と言うとそうでもありません。システムを構築していくということは、さまざまなものを組み合わせるということでもあります。コードであり、ネットワークであり、サーバのようなハード機器、それぞれ違った技術と知識があります。これらを知らないで、つまりはパーツの形を知らないでパズルを完成させることはできません。
特にこの業界は技術が日進月歩し、刻々と状況は変わっていきます。新しい技術は確実に能率やコストを変えていきます。これらを知らずに、よりよいシステムの構築は望めません。フリーランスであれば、会社から研修や業務がやってくるわけでもありませんから、特に自身でより高いスキルや新しい知識を身につけるよう、意識して動く必要があります。
フリーランスとはいっても、システムの開発を行うには一人では限度があります。ツールやアプリ、小規模なシステムであれば一人でも作ることはできるでしょう。SEとしてより上級となるには、手がけるシステムも自ずと大きくなってきます。となれば、複数の人間と共同して作業を行うことは必須となります。そして、ただの一員としてではなく、複数の人間に指示を与え、統率する立場になるわけですから、コミュニケーション能力がないと立ち行きません。このコミュニケーション能力についても、単にチームの人間同士の和を保てればいいか? というとそうでもありません。複数の人間が集まれば、どうしても反り合いのあわない相手も出てきます。しかし、リーダーとなるべきSEに求められるのはそれを仲良しグループにすることではありません。チームをすべて同じ方向に向かわせ、プロジェクトを成功に導くことが必要なわけです。
技術的な情報交換、会議などでの情報共有、ちょっとした指示出し、それらに発揮されるのがこの能力です。ミスを埋もれたままにしない、進捗の遅れとなるような問題が早めに報告されるような空気づくりについても気配りをすることが求められます。
前項のコミュニケーション能力にも関わってきますが、ロジカルな思考、論理的な組み立てができないと、システムという形のないものを説明することができません。口頭での説明はもちろん、資料に落とし込むこともできません。
フリーランスとしては「とにかく手を動かして、動作するものができればいい」という傾向になりがちですが、小規模なシステムならまだしも、大きなものを開発するためには論理的な思考のもとにいくつもの要素を組み立てていく必要があります。その素養として、ロジカルな思考が欠かせないのです。
システム開発会社の中堅SEから、フリーランスSEとして独立して、5年。独立のために悩んだ期間は約2年。もっと早く独立するべきだったと思っています。フリーランスSEの道へようこそ。
毎月だまっていても一定の給料が入ってくる会社員の安定を手放し、フリーランスSEとしての道を踏み出すにあたり、誰しもまず不安に思うのは収入のことではないでしょうか。フリーランスというと月々の収入に波があるのはいたし方ありませんが、フリーランスSEの場合、毎月定額で収入を得る契約方式も少なくありません。フリーランスSEの報酬生産の仕組みを知りましょう。
フリーランスSEになったらどうやって仕事をとってくるのか?そもそも仕事をとれるのか?そういう不安もあると思います。仕事をもらえるようなあてがない人はもちろん、ある程度の人脈やパイプがある場合でも、思うように仕事がとれないときもあるでしょう。そういう時に役立つのがエージェント。営業力のあるエージェントであれば、自力で仕事を探すよりも高額案件をとれる可能性も高くなります。
ビジネスには季節変動がつきものです。フリーランスSEの案件にも、時期に応じた特徴と波があります。一年を四半期ごとに分けて、それぞれのタイミングの案件の概況を紹介します。一年間の流れを知っておけば、どのタイミングまでに何をしておかなければならないかも見えてきます。先々を見据えて、先手先手で動くことが、フリーランスSEが生き残る知恵でもあります。